使用ソフトウェア | バージョン | 備考 |
---|---|---|
Unreal Engine | 5.0.1 | 英語版 |
Unreal EngineのライトにUse Inverse Squared Falloff
という設定がある。
これはAdvanced
の中にあるため初心者は触る必要はなさそうに見えるが....
UEの動画を見て回っているとコレをなにげに触っているのをいくつか見かける。
これはどういうものなのだろうか。
英語だが公式ドキュメントに効果が書いてある。
4.2 - Inverse Square Falloff | Unreal Engine Documentation
ただ、コレを読んでも具体的にどういう効果なのかはやはり分かりにくいと思う。
先に結論を言えばUse Inverse Squared Falloff
とは距離による光の減衰を現実世界とほぼ同じにする設定。
初心者はデフォルト(オン)のままで良い。ライティングアーティスト向けの設定。
次の項より実際に試しながらその効果と調整方法を書いていく。
かんざしが床に刺さっているようなサンプルで解説していく。
わかりやすいように球と床で色を分けた。
球のすこし上あたりにスポットライトを設置。
先にAttenuation Radius
という設定を知っておく必要がある。
あまり難しいものではなくライトの効果範囲を設定するもの。
今回はライトから地面ぴったりの範囲を設定した。
後述するが、これを無用に大きな値に設定しておくと減衰の調整が難しくなる。
この値は大きくすると効果範囲が伸びるだけでなく処理負荷も増える。
可能な限り低く(効果範囲を狭く)する事を推奨。
まずUse Inverse Squared Falloff
がオン(デフォルト)
何の変哲もないスポットライトだ。
これのIntensity
(光の強さ)を少しずつ下げてみると
床が消えて緑の球体だけが映し出された状態になっていく。
これはつまりゲーム内でも光が距離により減衰している証拠だ。
次にUse Inverse Squared Falloff
をオフにする。
これをオフにすると突然光量が強くなる。
この記事ではIntensityをかなり下げて上記ライティングと同じレベルにしている。
するとその下のLight Falloff Exponent
のスライダが調整できるようになるので2.0
にする。
このスライダは光の減衰量を減らすスライダで2.0
がマウスドラッグでの最低値。もっと下げる場合は実数で入力する。
距離によって減衰しにくくなったので床にも明かりが当たっている状態がわかると思う。
Light Falloff Exponent
を16にしてみる今度はLight Falloff Exponent
を16
にする。
これは現実世界よりも強く光が減衰する設定。
Use Inverse Squared Falloff
がオンの状態よりも減衰しているのがわかる。
次に上の設定のままAttenuation Radius
を最大値にした状態でテストする。
こうすると減衰する/しないにかかわらず光が届く範囲が極限まで遠くなる。
Light Falloff Exponent
が16
(最大値)のためイメージ的には一つ前の例のようにすぐに光が減衰してしまうはず、が....
「全体的に暗くなるだけ = 光が距離によって殆ど減衰していない」という状態になってしまった。
このようにAttenuation Radius
の値を大きくしすぎると殆ど減衰しなくなるケースがあるので注意だ。
処理コストも増えるため、光を届けたい長さまで適切に設定するのがベスト。
この場合は地面に触るぐらいが良い。
Use Inverse Squared Falloff
をオンにした状態(デフォルト)が最も現実の光に近いらしい。
よって特別必要とならない限りUse Inverse Squared Falloff
はオンのままで良い。
ここまではおおよそ人物とそれほどかわらない高さで試した。
もっと長い距離のライティングの場合に影響が強くなるのではないかと考えたため、かなり大きなオブジェクトでテストを行った。
かなり大きなオブジェクトでUse Inverse Squared Falloff
をオンの状態で次を作成した
この表現ではIntensity
がとてつもない数字になってしまった。
この数値のIntensity
はマウスでは操作できずキーボードで入力しなければならない。
Use Inverse Squared Falloff
をオフにするとIntensity
は100程度で済むためマウスでもコントロールが可能。
上がUse Inverse Squared Falloff
をオフで作成した例。
外観も大きく変わらない上に、こちらの方が数値の調整がやりやすい。
更にこちらの表現の場合はLight Falloff Exponent
をマウスで微調整するだけで光が届く範囲を簡単に操作できる。
Use Inverse Squared Falloff
をオフにするなら、次のようなケースが考えられる
Intensity
をMAXまで上げても十分な光量が得られない時など)上記の検証結果を踏まえIntensity
ではなくLight Falloff Exponent
を動かしてライトの強弱をいじっているような演出もできると思いついたのでサンプルを作ってみた。
これのメリットは減衰アニメーションとIntensity
の数値を別々に調整できること。
この設定に関しては情報が少なく個人的に実践した結果で記事を書いている。
よって誤っている解釈があるかもしれないので注意。
こういうパラメータは本格的なゲームやシネマ的な映像製作向けのガチな設定項目。
こだわったライティングをしてみたい人は実際に触って効果を確かめてみてほしい。