2022-05-18

【マテリアル】Depth Fadeノードとは【UE5】

Depth Fadeノードという分かりにくいノードがあるので紹介。実例ではなくノードの解説に絞る。

Article Image
使用ソフトウェアバージョン備考
Unreal Engine5.0.14系でも使える

Depth Fadeノード

Depth Fadeノード

マテリアルのノードにDepth Fadeというノードがある。

コレを使うと比較的かんたんに面白いマテリアルが作れるのだが....

そもそも、このノードそのものが何をするものなのかを理解するのがまず難しい。

というわけで今回はこのノードにどういう効果があるのかを解説する。

実例は解説しない

難しいノードであるため実用例まで一気にやってしまうと混乱すると考えられる。

よってこの記事ではノードの効果だけに絞って解説する。

理解に必要なレベル

マテリアルのOpacityの仕組みを理解しているレベルならばだいたいOKかと思う。

Opacityがわからない場合は次の記事を参考にしてもらえたらと思う。

【マテリアル基礎】透過マテリアルの作り方【Unreal Engine】 | 謎の技術研究部

今回使用するオブジェクト

このノードを理解するために次のようなオブジェクトを配置した。

板とパイプ

真っ黒な板ポリに、ピンクの棒が刺さっている。

今回のDepth Fadeは黒い板ポリの方に適用してある

ピンクの棒は色が付いただけのマテリアル。特殊なノードはなにも使っていない。

Opacity

Opacity

まず最初にこのノードについているOpacityの項目に絞って理解する。

ただ、ここは非常に簡単で

Opacityに0.5直差し

この結果と

OpacityにDepth Fade経由で0.5差し

この結果は全く同じ。レンダー結果は変わらない。

どちらも半透明

どちらも上のような半透明な結果となる。

このときFadeDistanceには0.0が入れてある。0.0ではないときに結果が変わってくる。

Opacityの入力はそのままスルー

つまりOpacityに入った数値はそのまま特殊な処理なしで全体に適用されるだけなのであまり深く考えない。

この記事では固定値で1(不透明)で進める。

Emissive Colorに接続

まずはEmissive Colorに入力してどのような色がでているかを確認する。

Emissive Colorに接続した結果

結果白くなる

板ポリが白くなっただけで、特になにもない(FadeDistance=0.0)

FadeDistanceを150に設定

この状態でFadeDistanceに150を入れてみると...

FadeDistance 150

影が落ちる

矢印の箇所にピンク棒の影のようなものが浮かび上がった

アニメーションしてみる

これだと何が起こったのかよくわからないと思うので、次のノードでアニメーションしてみることにする。

アニメーション化

このノード組がよくわからなくても良い。

これはただFadeDistanceの値が0 ~ 300を行ったり来たりするように組んでいる。

ゲーム内では次のようなアニメーションとなる。

値が増えるほど遠くにあるものが黒色になって表示されている。

レントゲンみたいな効果

つまりFadeDistanceに距離を指定すると、その範囲内にあるものがレントゲンのように透けて映し出される

レントゲン例

この例と黒い板ポリ+ピンク棒で比較して考えると

  • 皮膚≒黒い板ポリ(内側の骨は本来は見えない)
  • 骨≒ピンクの棒(本来は皮膚の内側にある骨は見えないが、レントゲン≒Depth Fadeの効果で透過する)
ちょっと厳密には違うのだけれど。またレントゲンの場合は白と黒が逆になっている。

これをOpacityに繋ぐとどうなるか

上のEmissive Colorに繋いだ例ではただ黒い影が表示されているようにしか見えない。

ピンクの棒をピンクのまま透過する、ということができるのもこのノードの利用方。

というわけでEmissive ColorではなくOpacityに繋いでみよう。

Opacityへつなぐ

黒の上にピンク棒

板を突き抜けたピンク棒の一分が表示されている(黒い板ポリが透けている)のがわかるだろうか。

当然だがFadeDistanceの値を大きくすれば、より左側の(遠くの)棒も透過されていく仕組みだ。

よくわからんがそれOpacityだけでできない?

Depth FadeなしでOpacityだけで透過しようとすると空や地面まで透明で写ってしまう。

どちらも半透明

Depth Fadeの良いところはあくまで指定した範囲内のものだけを透過するという仕組みだ。

この見た目が混乱する理由

Depth Fadeをとりあえず使ってみたときに「なんか表示が変になっただけ」と感じる人は多いと思う。

それは上の例のようにオブジェクトが上に重なっているだけように見えるためだろう。

まず、頭の中で理解してほしいのは表示がバグっているわけではなく100%透明になっているので手前に描画されているように錯覚するという点だ。

黒の上にピンク棒

Depth Fadeを理解していない状態でこの画像を見ると、透過されているのではなくピンクの棒が左にズレているだけに見える。

最後に動画で確認

まだ少し分かりにくいと思うのでもう一度「透過されているだけ」という状況を動画にした。

こうやって視点を回してみると、合わせ鏡に映ったような(?)なんともいえない透過が表現されている。

※ファイルサイズが重いためYoutube動画の貼り付けとさせていただいた。

まとめ

Depth Fadeとは

  • FadeDistanceに入れた範囲内のオブジェクトを黒で(それ以外は白で)描画する
  • これをアウトプットのOpacityに入れれば範囲内のオブジェクトが見えるように透過できる

というシンプルながら理解が難しいノードだ。

今回は解説だけで終わり

「じゃぁこれ何に使うの?」というのが一番大事なところだ。

しかし!そもそもDepth Fadeはこのノードそのものがどういう効果なのかというのが極めて分かりにくいという最大の障壁があると感じた。

というわけで本記事は、Depth Fadeの効果だけ理解できたら目的達成。

実例は掲載しない。

あとは各自で調べるなり試すなりしてもらえればと思う。



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謎の技術研究部 (謎技研)